2023-05-02
相続財産が不動産のみの場合、公平性を保つために共有名義にするケースがあります。
スムーズに遺産分割でき、かつトラブルもないように思えますが、不動産を共有して所有することはおすすめできません。
今回は共有名義とはなにか、持分でできることや起こり得るトラブルを解説します。
山口県山口市で不動産を相続する予定の方は、ぜひ参考になさってください。
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まずは、相続における不動産の共有名義とはなにかを解説します。
共有名義とは、ひとつの不動産に複数の所有者がいることです。
財産がひとつの土地のみだった場合、その土地を相続人全員で所有することを指します。
相続の場合、法定相続分にしたがって、それぞれが均等に所有権を持つケースが多いです。
共同名義や共有持分などと呼ばれることもありますが、どれも同じ意味となります。
土地や建物などの不動産は、平等に分割しにくい財産です。
現金や預貯金を相続した場合、1円単位でわけられるため公平性を保てます。
しかし、不動産は物理的に分割することができません。
そのため、共有名義にする場合は、それぞれの持分割合に応じて所有することになります。
共有名義には、下記の4つの種類があります。
不動産は、夫婦間で共有名義にするケースがあります。
共働き世帯が増えた今、山口県山口市においても、マイホームを夫婦の共有名義で購入する方が増えてきました。
ただし、離婚などで夫婦関係が悪くなると、売却や活用が難しくなることがあります。
親子間とは、父親と子ども、母親と長男・次男という風に、親と子どもで所有することです。
親子間の共有名義では、名義変更や売却時に親と子ども全員の同意が必要になります。
また、兄弟や姉妹でひとつの不動産を共有するケースも珍しくありません。
夫婦間と同様、兄弟や姉妹間で揉めてしまうと、売却したり活用したりといったことが難しくなります。
さらに、もともと共有状態になっている不動産を、売却や競売によって第三者と共有する場合もあります。
他人と共有する場合、持分に応じた家賃を請求されることもあるため注意が必要です。
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続いて、相続した不動産の共有持分でできることを解説します。
共有持分の所有者が単独でおこなえる行為のことを、保存行為と呼びます。
代表例は下記のとおりです。
保存行為とは、共有する不動産の現状維持を目的とした行為です。
雨漏りの修繕や故障した設備の修理など、現状維持のためのリフォームなら、ほかの共有者の同意は必要ありません。
しかし、相談せずに勝手にリフォームしてしまうと、費用の支払いを拒否される恐れがあります。
そのため、リフォームする前に相談しておくのがおすすめです。
また、共有持分のみの売却や使用も、保存行為に該当します。
不動産そのものを売却する場合、ほかの共有者の同意が必要ですが、持分のみであれば売却することが可能です。
持分割合の多い少ないに関わらず、居住したり事務所として利用したりすることもできます。
さらに、持分を不法に占拠された場合、所有者の独断で裁判所に不法占拠者への明渡し請求を申立てることが可能です。
共有名義の不動産が相続後に空き家となり、放置してしまうと、不法に占拠される可能性があります。
不正な登記が発覚した場合、単独で抹消登記をおこなえるのも、保存行為のひとつです。
相続した不動産の持分が、過半数以上あればおこなえることを管理行為と呼びます。
管理行為に該当するものは、下記のとおりです。
賃貸物件として、相続した不動産を短期間使用するのは管理行為となります。
ここでいう短期間とは、土地5年以内、建物3年以内のことです。
この期間以上になる場合は、共有者全員の同意が必要となります。
また、資産価値を高めるような大規模なリフォームやリノベーションは、単独で実施できません。
工事内容が現状維持を超えてしまうと、管理行為となる可能性があるため注意が必要です。
共有者全員が同意していればおこなえることを、処分行為と呼びます。
代表例は下記のとおりです。
売却や解体は、共有者全員の同意がないとおこなえません。
そのため、1人でも反対する方がいる場合は、円滑に進まずトラブルになる可能性があります。
相続した不動産の場合、築年数が経過しているケースも多いです。
倒壊の危険性があり、早急に解体しなければならないこともあるでしょう。
しかし、そのような場合でも共有者全員に同意を得る必要があります。
長期間、賃貸物件として使用する場合も同様です。
ほかの権利者への影響が大きいため、全員から同意を得なくてはなりません。
土地は5年以内、建物は3年以内を超えて賃貸借する場合は、処分行為に該当します。
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最後に、不動産を共有名義で相続した際に起こり得るトラブルを解説します。
トラブルとしてまず挙げられるのが、メガ共有のリスクです。
メガ共有とは、ひとつの不動産に複数の所有者がいる状態を指します。
たとえば世帯主が亡くなり、妻と子どもが遺産分割協議や相続登記をしないと、法定相続分にしたがって相続することになります。
「法定相続分にしたがって相続する=妻と子どもが共有状態で所有する」ということです。
そのあと、妻と子どもが亡くなり、2次・3次相続が発生すると、さらに相続人が増え共有者が雪だるま式に増えていきます。
何世代にも渡って相続が発生しているのにも関わらず、相続登記されない不動産の場合、数十人~数百人で共有状態となる可能性もあるでしょう。
売却する際、共有者全員の名前や住所などを特定する必要があり、過大な負担が生じるため注意が必要です。
不動産を共有名義で相続すると、修繕費用を巡るトラブルも懸念されます。
土地や建物を所有している以上、適切な維持管理が必要です。
修繕が必要な場所は、費用をかけて直す必要があるでしょう。
共有名義の場合、修繕費用を誰がどのように負担するのかでトラブルになることがあります。
共有名義を解消するためには、裁判所に共有物分割請求を申し立てる必要があります。
共有物分割請求とは、裁判所に適切な分割方法を裁定してもらうことです。
共有名義にしたものの、管理上の煩わしさから、共有状態を解消するケースも珍しくありません。
共有状態の解消には手間がかかるため、本当に適した方法なのかを考えるべきといえます。
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共有名義の不動産を利用したり処分したりする場合、持分の割合が密に関わってきます。
そのため、不動産を共有で相続してしまうと、ご自身で自由に取り扱いできずトラブルになる可能性があります。
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