2023-01-31
不動産などの遺産を相続する場合の分け方として、売却して現金化せずに現物のまま相続する方法があります。
本稿では不動産をそのまま相続する現物分割とはなにか、そのメリット・デメリット、おすすめのケースや難しいケースを解説します。
山口県山口市内でこれから相続を控えている方は現物分割について確認して、相続時の参考にしてみてください。
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現物分割とはどのような相続の方法で他の相続方法とはどう違うのでしょうか?
不動産や車などの遺産を売却して現金化せず、形状を変えないでそのまま相続する方法が現物分割です。
たとえば、相続する不動産に実家とアパート、その他の遺産に預貯金と車があり、兄弟3人が相続人だとします。
長男が実家を、次男がアパートを、三男が預貯金と車を、売却や形状の変更をしないで相続すること現物分割と言います。
また、相続する不動産が300坪の土地だとして、100坪ずつ分筆して分け合うことも現物分割です。
手続きや考え方はとてもシンプルですが、それそれの価値が同じとは限らないため、トラブルになることもあるでしょう。
遺産分割には現物分割の他に3つの分割方法があります。
1つ目は「換価分割」で、遺産を売却・現金化して相続人で分ける公平でシンプルな分割方法です。
遺産に不動産がある場合には売却に時間がかかりますが、不動産の利用目的がない空き家の場合などに用いられることがあります。
2つ目は「共有分割」で、遺産に不動産があり、複数の相続人で相続する場合、共同で相続してそれぞれ持ち分を持つ形になります。
ひとつの不動産を2人以上で共有するため、活用方法や売却方法で話がまとまらずトラブルになることもありますが、こちらも公平な分け方とも言えるでしょう。
3つ目は「代償分割」で、公平に遺産を分割するけれども権利関係を複雑にしたくない場合に採用されます。
たとえば相続人が兄弟2人で遺産が不動産だけの場合、まず兄が不動産を相続します。
その後、兄から弟へ不動産評価額の半分を現金で渡し、公平な相続を成立させる方法です。
共有持分を兄が買い取ったと考えれば分かりやすいかもしれません。
相続人の中の1人が親と同居していて、その親が亡くなって相続が発生した場合などで用いられやすいでしょう。
代償分割は公平で、不動産が共有名義にならないので、相続後の売却や利用方法でトラブルになりにくい方法です。
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遺産を売却せずそのまま相続する現物分割について、そのメリットやデメリットについて解説します。
相続発生後、遺産分割協議にて誰が何を相続するかが決まれば、とてもシンプルで簡単なのが現物分割だと言えるでしょう。
たとえば実家は配偶者である母、アパートは長男、預貯金は長女など、話の折り合いが付けば難しいことを考える必要もありません。
相続後はそれぞれ自分の名義に変更するだけなので、時間もかからなければ手続きも簡単なことがメリットです。
そして、不動産を相続するにあたってトラブル要素になりやすい不動産の評価をしなくて良いこともメリットです。
相続する不動産の評価額を出すためには固定資産税評価額、不動産会社の査定、不動産鑑定士の鑑定評価などいくつかの評価基準があります。
しかしながら、その評価基準を決めるところから意見がなかなかまとまらないケースや、評価額が出てもその価格に納得できないケースなど、トラブルに発展することがあります。
現物分割であれば、このような評価額に関するトラブルが起こりにくいというメリットがあるでしょう。
現物分割で遺産相続する場合のデメリットは、相続する遺産に不公平感が出てくる点です。
仮に3人の相続人が3つの異なる不動産を相続した場合でも、同じ物件、評価額が同額の物件は存在しないため、公平だとは言えないでしょう。
遺産分割協議で合意したうえで現物相続で価値が異なるものを相続したのなら問題はありませんが、遺言などで指定されている場合にはトラブルになることもあります。
また、ひとつの不動産を分割して現物分割する場合は、ある程度の敷地の広さが必要です。
農地や広大な敷地の駐車場など、分筆して土地を切り分けても使用できるのなら問題ありません。
しかし、もともと切り分けられるほど土地が大きくなかったり、条例などで最低敷地の限度が定められているのなら分筆自体できないケースもあります。
その他にも、分筆したことで敷地形状が悪くなったり、接道がなくなることもあるでしょう。
現物分割ではこれらのデメリットがあるので、不公平さがあることを前提で相続を進めなければなりません。
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相続が発生したときに現物分割しやすいケースとしづらいケースがありますが、どのような状況なのでしょうか。
それぞれのケースについて解説します。
分け方が不公平であっても相続人同士が同意し遺産分割協議で話がまとまれば、相続に問題はありません。
次のようなケースであれば、遺産分割協議がまとまりやすく、現物分割しやすいケースと言えるでしょう。
たとえば、長男が家を継ぐなど決まっているときに、長男に遺産を集中させ、それに他の相続人も同意しているケースです。
プラスの遺産も負債や借金などのマイナスの遺産も併せて長男が引き受ける、故人が経営していた会社も引き受けるなどの状況も同様です。
また、多様な遺産を保有しているケースでも現物分割しやすいでしょう。
不動産、収益不動産、預貯金、有価証券などそれぞれを評価したときに、できるだけ公平に遺産を相続できるなら、現物分割は容易です。
相続人によっては遠方に居住しているなど、不動産を相続しづらい事情もあるでしょう。
多様な遺産があれば、相続人の事情も汲み取って相続をスムーズに進められるかもしれません。
預貯金など現金の遺産が多くある場合にも、金額で調整しやすいので現物分割しやすいでしょう。
所有している不動産が借地権で、所有権があるのは建物だけの場合、建物を分割することは難しいので現物分割できません。
区分所有にする方法もありますが、廊下や玄関などの共有部分は共有持分になってしまうため、現物分割ではなく、共有分割になります。
同様に、土地の敷地面積が小さく分割することが現実的ではない場合も現物分割できません。
先述したとおり、自治体が定める地区計画などで最低敷地面積が定められていると、分筆自体できないことを覚えておきましょう。
分割することで土地の価値が減少する場合も現物分割できません。
敷地形状が悪くなる、接道自体なくなってしまう、面積は均等に分けてあっても建物が建てられないなど、土地を分けることで弊害が発生すると土地の価値が減少します。
この場合も現物分割ではなく、代償分割や換価分割などを検討する必要が出てくるでしょう。
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現物分割とは土地の形状や状態をそのまま相続する方法で、売却などの手間をかけずに相続の手続きができます。
しかし、相続人のあいだで不公平感を生みやすいデメリットもあります。
相続する不動産の状況やその他の遺産との兼ね合いで、現物分割しやすいケースやしづらいケースがあるので、遺産総額や遺産の範囲を確定させてから検討すると良いでしょう。
山口県山口市内でこれから相続を控えている方は、相続について親身にサポートいたしますので、株式会社東武住販山口店にお気軽にご相談ください。