2023-03-07
相続財産に不動産がある場合、評価額が決まらないと相続が進まず、遺留分も算出できません。
本稿では「遺留分」とはなにかにくわえ、遺留分における不動産評価額の決め方や決まらない場合の対処法について解説します。
山口市内で相続を控えている方は、遺留分や不動産評価額について確認し、参考にしてみてください。
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相続でよく耳にする「遺留分」は、不動産の相続でも重要な役割を果たします。
まずは、相続における遺留分とはなにか、各相続人の取得割合について確認しましょう。
遺留分とは法定相続人が主張できる相続財産の最低限の取得割合のことで、法律によって認められているものです。
一般的に、相続では遺言や遺産分割協議にしたがって相続内容が決められますが、法定相続人には最低限の遺産を相続する権利があります。
遺言で指定されていないとしても、遺留分を主張することで最低限の遺産を相続できるのです。
遺留分を請求する場合は遺産総額を調査する必要があり、遺産の中に不動産があれば評価額を算出しなければなりません。
遺産総額が分かったら、法定相続人の相続順位を根拠に割合を計算し、遺留分を算出します。
相続が完了しているのならば、遺産を相続した相続人に対し、遺留分を金銭で請求します。
相続した遺産が遺留分に満たない場合にも、その差額を請求可能です。
遺留分の取得割合は故人との関係によって異なり、法律で以下のように定められています。
故人に子や孫がいる場合は第1順位が優先され、第2順位の故人の両親や祖父母が遺留分を主張しても認められません。
また、配偶者が亡くなっている場合には、ほかの法定相続人が遺留分を分配します。
子どもが二人いる場合、遺留分は二人合わせて4分の1なので、子ども一人の遺留分は8分の1です。
故人の兄弟姉妹、相続放棄した相続人、相続欠格や相続から排除されている相続人は遺留分が認められません。
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遺留分を求めるためには不動産評価額を調べる必要がありますが、どのようにして決定すれば良いのでしょうか。
不動産評価額を調べる方法について解説します。
土地の価格を求める際に利用される指標に、公示地価や基準地価があります。
公示地価は、適正な地価形成のために国土交通省が年に1回公示する価格です。
全国約2万6千地点の1月1日時点での1㎡あたりの土地価格を調査したもので、不動産取引や不動産評価額の決定に活用できます。
基準地価は、公示地価を補完する目的で都道府県が公示する価格です。
どちらも土地価格の指標となるため、不動産評価額の算出に役立ちます。
路線価には、市区町村が定めている固定資産税路線価と、国税庁が定めている相続税路線価があります。
路線価は道路ごとに設定され、その道路に面している土地の1㎡あたりの価格を表します。
路線価によって不動産評価額を求める場合は「路線価×土地の面積×補正率」で計算可能です。
路線価が12万円で土地の面積が150㎡ならば、まずは「12万円×150㎡=1,800万円」となり、ここに補正率をかけて評価額を求めます。
補正率を乗じるのは、使いにくい形の土地や多くの道路に面している土地などの評価額を正確に算出するためです。
固定資産税評価額とは、固定資産税を決定するために市区町村が定めている評価額です。
毎年4月から5月に送られてくる固定資産税の納税通知書や、役所で取得できる固定資産評価証明書で確認できます。
書類を確認するだけで計算の必要がないため、わかりやすい評価額だと言えます。
公示地価や路線価での評価額計算でも、建物については固定資産税評価額を用いるので、いずれにしても参考にする価格です。
評価額を求めるための指標は複数あるため、相続人同士でどの価格を参考にするか決定しなければなりません。
計算方法によっては特定の相続人が損失を被る可能性があるため、意見が食い違うこともあります。
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相続人同士の話し合いで不動産評価額が決まらない場合は、次のような方法で対処します。
不動産鑑定士は不動産の鑑定評価に関する法律によって定められた国家資格で、不動産の客観的な価値を鑑定する専門家です。
不動産鑑定士による鑑定評価は公平・公正であるため、裁判の資料としても用いられます。
話し合いで決まらない場合でも、利害関係のない第三者かつ専門家による評価ならば、相続人も納得する可能性があります。
ただし、不動産鑑定士の鑑定評価は必ずしも実売価格と一致するわけではないことと、鑑定には費用がかかることに注意が必要です。
鑑定費用の目安は、30万~40万円程度です。
トラブルを避けるためにも、費用負担を相続人同士で取り決めておきましょう。
相続人同士が感情的になってしまい話し合いが進まない場合には、弁護士に仲裁を依頼するのも方法のひとつです。
弁護士は法律の専門家であり、弁護士の意見やアドバイスならば相続人も耳を貸すかもしれません。
また、弁護士には交渉だけでなく手続き全般の代行も依頼できるので、話し合いの負担を減らすこともできます。
遺留分に関する疑問点なども相談できるでしょう。
話し合いで決まらない場合には、裁判所に調停や訴訟の申立てをおこなうこともできます。
調停とは、裁判官や調停委員が相続人の間に入り、お互いが合意するポイントを見つけて和解を図るための手続きです。
一方的に意見や請求をぶつけるのではなく、お互いの歩み寄りが必要となります。
訴訟は法的に争う方法で、裁判官に判断を委ねます。
裁判官の判断には法的な効力があるため、反対している相続人がいても強制的に決定できるのです。
裁判所を利用する際は、必ず自分の要求が認められるわけではないことに注意しましょう。
裁判官は法律のもとに公正な判断を下すため、自分の要求が却下される可能性もあります。
まずは弁護士に依頼し、それでも決まらない場合に裁判所を利用するのが一般的な流れです。
不動産評価額が決まらない場合の対処法として裁判以上のものはないため、段階を踏んで対処しましょう。
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遺留分とは、法定相続人が取得できる相続財産における最低限の取得割合です。
相続財産に不動産がある場合は、遺留分を計算するために不動産評価額を求める必要があります。
不動産評価額を求める方法はいくつかあり、相続人同士の話し合いで決めますが、決まらない場合には不動産鑑定士や弁護士への依頼を検討しましょう。
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