2022-11-01
相続すると遺産総額や相続人の数に応じた相続税を支払いますが、空き家を相続した場合でも相続税が課税されます。
今回は、空き家を相続した場合の相続税の計算方法、相続前後での空き家の相続税対策を解説します。
山口市内で実家などの空き家を相続する予定の方は、よく確認して、相続時に相続税がいくらかかるのか把握しておきましょう。
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相続後も配偶者や賃貸によって人が住んでいる住宅に比べ、空き家の相続は相続税が増えてしまいます。
具体的にどうなると空き家の相続税が増えるのか解説します。
小規模宅地の特例とは、亡くなった方が住んでいた土地、事業で利用や貸していた土地などを、一定の要件を満たす方が相続すれば相続税が8割差し引かれる特例です。
亡くなった方が生前住んでいた土地や、亡くなる前に老人ホームに入っていたとしても、その前に住んでいた土地が特例に該当します。
相続の対象は、その土地に配偶者や同居している親族、または賃貸住まいで自己やその配偶者や親族が所有している家屋に3年以内に居住していない方とされています。
土地と相続人の条件を満たしていれば330㎡までの敷地面積に対する評価額が8割減額されます。
空き家の相続の場合は、小規模宅地の特例に該当しないため、8割の土地評価額減額は適用されません。
また、親が実家に独り暮らししていて子どもが独立して自宅を所有している場合で相続が発生したならば、小規模宅地の特例には該当しません。
空き家を相続することは相続税以外にも管理や固定資産税のリスクがあります。
空き家を適切に管理しなければ、すぐに土地や建物が荒れてしまい近隣に迷惑がかかる場合もあります。
もし、台風や地震で建物が損壊し、人や物に被害が出てしまったら所有者責任が追求され、損害賠償請求されてしまうこともあるでしょう。
また、自治体から特定空家に指定されてしまうと、土地・建物を適切に管理するように自治体からの指導や勧告が入り、それを放置すると命令や強制執行される可能性もあります。
こうなると住宅用地の特例の適用除外になってしまい、固定資産税が増額されて負担が大きくなってしまうでしょう。
特定空家に指定されないためには適切な管理が必要で、ひと月に数回は足を運んで、換気や通水、ポストの清掃や庭の手入れ、建物の点検などが必要です。
空き家を相続することは相続税以外にも負担が大きいことを覚えておきましょう。
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それでは、相続税の計算方法の解説と、具体例を参考にして相続税を計算しましょう。
基本的な相続税の計算方法は、以下の計算方法です。
課税遺産総額=遺産総額-基礎控除額
相続税=課税遺産総額×税率-税額控除
遺産総額とは、預貯金や不動産、有価証券などプラスの財産に、債権や借り入れなどマイナスの財産を合算し、葬儀費用などを差し引いて計算します。
基礎控除額は法律で定められた控除額で、「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」となります。
たとえば、相続人が子ども3人の場合には、「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」が基礎控除額として計算されます。
税率や税額控除については、課税遺産総額に応じて決められている数字なので「相続税の速算表」などを確認し、計算してみましょう。
この計算のときに、小規模宅地の特例や配偶者控除などを算入することで相続税が軽減されます。
それでは、具体的な計算例を利用して相続税を計算してみましょう。
モデルケースとして預貯金が2,000万円、不動産は8,000万円(土地6,000万円、建物2,000万円、敷地面積300㎡)、相続人は2人で相続税を計算します。
葬儀費用などは300万円として計算した場合、相続税額は以下の計算で求められます。
(遺産総額1億円-基礎控除4,200万円-葬儀費用300万円)×税率30%-控除額700万円=950万円
この場合の相続税は950万円として計算できます。
それではもし、小規模宅地の特例が適用できた場合、相続税はいくらになるでしょうか。
この場合、不動産の評価が以下のように変わります。
土地6,000万円×(1-0.8)+建物2,000万円=3,200万円
(遺産総額5,200万円-基礎控除4,200万円-葬儀費用300万円)×税率10%=70万円
小規模宅地の特例が利用できた場合と、そうでない場合を比較すると同じ条件でも880万円も相続税が変わります。
これは解説のための概算なので実際はもっと細かく計算が必要ですが、遺産総額が多額なほど、相続税について考えておく必要があるでしょう。
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今後、空き家を相続する場合の相続前の対策と、相続してしまってからの対策について解説します。
相続発生前に対策すれば、相続税を抑えることも可能なので、その方法を3つご紹介します。
1つ目の対策は、生前に引っ越し、同居して生活をともにすることで小規模宅地の特例を適用する方法です。
住民票を移すだけだったり、介護のための一時的な同居は特例の条件に認められないので注意しましょう。
また、3年以上賃貸住宅に居住していて、今後も不動産購入する予定がない相続人がいる場合、その相続人が相続することで小規模宅地の特例が適用されることもあります。
適用条件をよく確認し、該当するのならば検討してみましょう。
2つの目方法は生前に賃貸住宅として賃貸に出すことです。
小規模宅地の特例は賃貸住宅も対象になり、200㎡までの敷地面積を対象に相続税評価額が50%減額されます。
このためには相続が始まるまでに3年以上賃貸住宅にする必要があります。
賃貸に出したあとの住まいをどうするか検討が必要ですが、老人ホームなどに入所するつもりならば、賃貸住宅にしてしまうのも良いでしょう。
3つ目の方法は生前に売却してしまうことです。
生前に売却し不動産を現金化しておけば相続のときにもスムーズですし、相続後に空き家になってしまうのであれば、管理負担も避けられます。
居住用の住宅を売却するので、10年以上居住していれば譲渡所得についても控除を受けられます。
注意点として不動産の評価額と売却価格との兼ね合いで相続税が高くなる場合もあること、自宅を売却するので住まいの確保も必要なことがあげられます。
売却前に税理士などに相談し、シミュレーションが必要でしょう。
相続発生後では既に相続が完了して相続税の納付が済んでいるので厳密にいえば相続税対策ではありませんが、相続した空き家を売却したときにできることがあります。
「空き家の譲渡所得の3,000万円の特別控除の特例」を利用すれば、売却益から3,000万円控除できるので、譲渡所得税を抑えられます。
土地建物を両方相続していることや売却価格が1億円以下などの条件もありますが、該当すれば税金対策として有用です。
また、相続税を納税後、3年以内に相続した空き家を売却したのならば、譲渡所得を計算するときの取得費に支払った相続税を含められます。
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空き家の相続では、同居家族が相続した場合や賃貸に出している物件の相続に比べ、相続税が増えてしまいます。
小規模宅地の特例が適用されるように引っ越したり、賃貸に出すといった方法で相続税対策をしましょう。
山口県山口市でこれから相続を控えている方で、売却を検討しているならば株式会社東武住販 山口店までご相談ください。