成年後見制度を活用した認知症の親の不動産売却方法や注意点について解説

2022-11-08

成年後見制度を活用した認知症の親の不動産売却方法や注意点について解説

この記事のハイライト
●親が認知症などで意思能力を欠く場合は、単独でも委任でも不動産売買契約は無効になる
●認知症の親の不動産を勝手に売却すると、契約無効で事情を知らない買主とトラブルになる
●成年後見制度を用いた不動産の売却は、条件つきの契約をしてから家庭裁判所の許可を得る

親が認知症で意識や判断があいまいになると、親は単独で法律行為ができなくなる可能性があります。
しかし、認知症と診断された場合でも法的な手続きによって後見人をつければ、財産の処分もできるようになるのです。
山口県山口市で認知症になった親の不動産の売却を検討している方は、成年後見制度についてまとめたこちらの記事をご参照ください。

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親が認知症になると単独で不動産売却ができない理由とは

親が認知症になると単独で不動産売却ができない理由とは

親が認知症などで意思能力を欠くなら、本人や親族の判断で不動産を売却できない場合があります。

意思能力を欠く認知症の親は単独での不動産売却ができない

認知症になり意思能力が充分でないと診断された場合には、単独で不動産の売却はできません。
また、意思能力がない方が単独でした不動産売買契約などの法律行為は、理由のいかんに関わらず無効です。
意思能力とは
自分の行動を理解し、法律行為をおこなえばどの様な結果になるのか自分で判断できる能力です。
とくに不動産は高額な財産であり、自己の居住用不動産を誤って売却してしまうと生活の基盤を失うため、法で保護すべきとされています。
一方で、認知症の徴候が見られても意思能力が欠如していなければ、成年後見制度を使わず単独で不動産の売却ができます。

意思能力を欠く認知症の親の委任状では不動産売却ができない

意思能力を欠く方から委任状をもらった代理人がおこなう法律行為は無効です。
つまり、本人が意思能力を欠く場合には、本人単独での契約も委任による代理契約も無効になります。
委任は本人の意思に基づいて法律行為を支援する制度ですが、本人が意思能力を欠く場合には委任自体が有効に成立しないため、代理でおこなった法律行為も無効になるのです。

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認知症の親に代わり勝手に不動産を売却して起こるトラブルとは

認知症の親に代わり勝手に不動産を売却して起こるトラブルとは

子が認知症の親に代わっておこなう不動産の売却でトラブルが発生することがあります。

認知症の親に代わって身内が勝手に不動産を売却するトラブル

親が認知症になり意思能力が充分ではない場合に、勝手とはいえ親のためを思って子どもがするのは問題ないだろうと、誰の許可も手続きもなしに不動産を売却するケースがあります。
しかし、たとえ身内であっても適切な委任もないまま所有者以外が勝手におこなった不動産売却は無効であり、それを知らずに購入した買主とはトラブルに発展する場合があります。
もちろん、認知症の本人のためとして本人の財産の一部で勝手に不動産を購入する場合も、たとえ身内であっても勝手におこなった購入は無効です。
本人が望み本人が不当に損害を被ることのない妥当な不動産取引なのか、公平で本人保護を最優先とする判断ができる手続きが必要です。

介護費用捻出のためでも不適切な不動産売却はトラブルのもと

親の認知症の症状が進行し介助サービスや入院をする必要がでてくると、突発的な費用や継続的な費用がかかります。
しかし、やむを得ない事情であっても、意思能力のない本人に代わって勝手におこなった売却はやはり無効です。
たとえば、介護をメインでおこなう親族が介護費用の捻出のために親の不動産の売却を検討しているケースはよくあります。
この場合には、法的な手続きにくわえて、事前に推定相続人(親が亡くなれば相続人になるであろう親族)からも内諾を得ておき、かかった介護費用が証明できるようカタログ・見積もり・領収書などを残しておきましょう。

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成年後見制度を用いた認知症の親の不動産売却方法とは

成年後見制度を用いた認知症の親の不動産売却方法とは

意思能力を欠く方が不動産を売却するには成年後見制度を活用します。

認知症の親の不動産を代理で売却できる成年後見制度とは

成年後見制度
成年後見制度とは、認知症・精神疾患・知能障害などで意思能力や判断能力を欠いていると診断された方の法律行為を支援する制度です。
申立人は家庭裁判所へ成年後見制度の審判を申し立てて、本人を支援する成年後見人を推薦して裁判所に選任してもらいます。
申立人になれる方
申立人になれるのは、本人・配偶者・四親等内の親族・検察官などです。
申し立てを受けた家庭裁判所は、本人・親族・後見人の候補者を聴取し、親族間で争いがないかやここに至るまでの経緯などの周辺調査をおこないます。
医師の医学的な鑑定
必要であれば、本人の判断能力を客観的に判断するために医師の医学的な鑑定を要請する場合があります。

認知症の本人を支援する2種類の成年後見制度について

成年後見制度には、本人が意思能力を欠く前か後かによって、任意後見人と法定後見人の2種類に分かれます。
任意後見制度
任意後見制度とは、本人が意思能力を有している間に、将来自分を支援してくれる方を選任しておく制度です。
家庭裁判所への申し立てなど不要で、支援する範囲や内容なども自分が思うように自由に指定できます。
法定後見制度
法定後見制度とは、意思能力が低下してから法定手続きによって支援者や支援範囲などの権限までを、家庭裁判所の判断に委ねる制度です。
制度が利用できるかどうかの判断や支援者の選任は、申立人の申し立てをきっかけとして前述のように開始し、以後すべて家庭裁判所の許可が必要になります。
法定後見人は、判断能力の度合いによって下記の3つの権限に分けられます。

  • 後見人:判断能力が欠除している場合:代理権・取消権がある
  • 保佐人:判断能力が著しく不充分である場合:家庭裁判所が定める代理権・同意権・取消権がある
  • 補助人:判断能力が不充分である場合:家庭裁判所が定める代理権・同意権・取消権がある

また、法定後見人になれない方は下記のとおりです。

  • 未成年者
  • 復権していない破産者
  • 被後見人に対し訴訟を起こした配偶者や直系血族(祖父母・両親・子)
  • 家庭裁判所から法定代理人を解任された方
  • 居所不明者

成年後見制度による不動産売却は特約に停止条件がついた契約

法定後見制度を用いた実際の不動産取引については、売買契約の締結自体は家庭裁判所の許可は不要ですが、その後に売買契約の案文を添えて許可申請をします。
その理由は、裁判所の許可を待ってから動いていると取引の好機を逃すためですが、この場合には売買契約書の特約事項として停止条件をつけ、家庭裁判所の許可がなければ無効になる契約にしておきます。
停止条件とは
将来の事実によって契約の効力の有無が変わる条件のことで、条件が成就しなければ売買契約は無効になります。
とくに、売却物件が成年被後見人が所有する居住用不動産の場合には「家庭裁判所の許可が得られた場合に限り契約の効力を有するものとする」という特約事項を付記して契約します。

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まとめ

成年後見制度には、親に判断能力がある時点で将来の支援者を自ら決める任意後見制度と、判断能力を欠いてから家庭裁判所に支援者を決めてもらう成年後見制度があります。
家庭裁判所を介する手続きは煩雑ではあるものの、認知症などの親の不動産を売却できる唯一の方法であるため、高齢化が進む現代社会においては一層ニーズが高まっています。
山口県山口市で不動産業を営む「株式会社東武住販 山口店」へ、終活の資産整理や不動産の売却相談などお気軽にお声がけください。

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