2022-07-05
不動産を売却するとき、売主は「契約不適合責任」に問われないよう注意する必要があります。
「契約不適合責任」と聞くと難しそうなイメージを抱く方も多いのではないでしょうか?
本記事は、不動産を売却するときの契約不適合責任とはどのような仕組みなのか、買主の権利やインスペクションの重要性も交えて解説します。
山口県山口市でこれから不動産を売却しようと計画している方は、この記事を読んで売主のリスク軽減対策として役立ててください。
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目次
そもそも契約不適合責任とは、どのような仕組みなのでしょうか?
この章では、売主が知っておきたい契約不適合責任のポイントを解説します。
契約不適合責任の仕組みはシンプルなので、コツをつかめば安全な不動産売却につながります。
契約不適合責任とは、買主を救済するための仕組みです。
不動産売買によって買主が損失を被らないように、契約不適合を発見した場合には適切な救済手段を売主に請求できることになっています。
契約不適合責任の基本的な考え方は、売主の債務不履行によって発生する責任ということです。
大前提として契約書に記載されているとおりの不動産を渡すことは、売主の義務です。
また売主は、不動産に不具合がある場合は買主に告知する義務があります。
すなわち、不具合を告知せず契約書の内容と違う不動産を引き渡した売主は、義務を履行しなかったということになります。
売主が契約不適合責任に問われるタイミングとは、不動産を買主に引き渡したあとです。
買主は、引き渡しを受けてからいつまで契約不適合責任を請求できるのでしょうか。
民法では、適合していないことを知った時点から1年以内に通知しなければならないと定められています。
1年以内に通知すると、買主が責任を追及する権利が保全されます。
また補修や損害賠償を求める時期については、1年を経過したあとでも問題ありません。
ただし、1年以内に通知しても権利を行使せずに5年経過した場合は買主の権利は時効消滅する仕組みです。
売主が契約不適合責任を負う対象とは、契約書の記載内容と異なる点についてです。
具体例を挙げると、コンクリートガラや瓦などの地中埋設物は契約不適合になりやすく、撤去費用の支払いを巡って売主・買主間で揉めることが多いです。
売主が地中埋設物の存在を告知せず契約書に記載していなかった場合は、売主が契約不適合責任を問われるため、撤去費用は売主が支払います。
たとえ売主が地中埋設物の存在を知らなかったとしても責任を問われる点に注意しましょう。
ほかにも天井の雨漏りや設備の故障、建物の傾きなど、さまざまな不具合が契約不適合責任の対象になる可能性があります。
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買主の権利とは、買主が利用できる救済手段のことです。
この章からは、契約不適合責任における買主の権利とはどのようなものなのか解説します。
不動産の修理などを求める買主の権利のことを、追完請求といいます。
「不完全なものを引き渡されたので、完全なものを引き渡してください」という意味です。
修理のほかに、代替物や不足分を渡すよう求められることもあります。
ただし買主の過失で発生した契約不適合については、当然追完を請求することは不可能です。
追完請求しても期間内に履行されないときは、買主の権利によって代金減額請求を行使できます。
代金は、契約不適合の程度によって減額されます。
代金減額請求は売主の帰責事由とは関係なく認められている権利です。
したがって売主の帰責事由がないからといって請求を拒否することはできません。
買主が期間を決めて追完請求しても売主が応じない場合に、買主から契約を解除して代金の返還を求める権利です。
ただし軽微なレベルの契約不適合である場合には、この買主の権利は認められていません。
売主が契約を履行することが不可能なときや、履行を拒絶する意思を示したときには、催告せずに解除することも買主の権利として認められています。
買主の権利のなかには、損害賠償請求権も含まれます。
損害賠償を請求できる範囲は「信頼利益」と「履行利益」で、信頼利益とは、契約が有効であると信じたことによって支払った登記費用や契約締結のための準備費用を指します。
履行利益とは、契約が履行されていれば得られたであろう利益を指し、転売利益や営業利益などが該当します。
こうした損害に対して賠償請求がなされるため、売主の金銭負担が大きくなることが予想されます。
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不動産売却前にインスペクションをすることによって、契約不適合責任に問われるリスクを軽減することができます。
この章からは、インスペクションとは何か、売却前にインスペクションをおこなう重要性や手続きの流れについても解説します。
不動産業界におけるインスペクションとは、中古住宅の売買契約前におこなう建物調査を指します。
インスペクションをおこなうのは、ホームインスペクターという資格を保有する専門家です。
家の劣化状況などを目視で確認できる範囲で調査し、劣化や不具合、欠陥があれば報告してもらえます。
インスペクションは、売主の告知義務を果たすために重要なプロセスです。
先述のとおり売主は不動産に不具合がある場合、売却前に買主へ告知する義務があります。
不動産には物理的な不具合と心理的な不具合の2種類がありますが、物理的な不具合はインスペクションで確認することが可能です。
インスペクションを実施したほうが、売却後に買主から契約不適合責任を指摘されることは少なくなるでしょう。
インスペクションにはほかにもメリットがあります。
まず、調査結果を踏まえて売却価格を設定することで説得力が増します。
さらにインスペクション済みの物件は劣化状況がわからない物件に比べて安心して購入できるので、売却活動で有利に働くことも多いです。
インスペクションを実施する最適なタイミングは、不動産会社と媒介契約を締結したあとです。
まずは、売却仲介をしてもらう不動産会社に調査会社を斡旋してもらうところから始まります。
2018年に宅地建物取引業法が改正され、インスペクションの説明や斡旋の有無の告知が不動産会社に義務付けられました。
インスペクションを実施すること自体は義務ではありませんが、媒介契約を結ぶときに説明を受けられることを覚えておきましょう。
次に調査会社から見積もりをとって、依頼先を決定します。
インスペクションの実施日程を調整し、それまでに必要書類を準備したり調査する部分の整理整頓をおこなう流れです。
そしてインスペクション当日は1~2時間程度かけて調査がおこなわれ、後日報告書を受領します。
報告書が届くまでには、調査から1週間程度かかるのが一般的です。
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不動産売却における契約不適合責任とは何かや、インスペクションの重要性について解説しました。
売却前に不動産の不具合を把握し契約書への記載をしっかりおこなえば、契約不適合責任のリスクを軽減することができます。
また、不動産会社が直接買い取る方法であれば、契約不適合責任を免責とすることも可能です。
わたしたち株式会社東武住販 山口店は、山口県山口市を中心に不動産の買取事業を展開しております。
不動産売却を予定している方は、お気軽にご相談ください。